中傷に対する反論とそのリスクについて

私は「放課後のプレアデス」という作品が好きだ。
物語の繊細さも、登場人物たちの決断の気高さも、美術も、それを裏打ちするSFもどれも素晴らしかった。
もっといろんな人に見てもらいたいという気持ちがある。

こういう、なにかのファンである者にとって、謂れのない中傷は気持ちの良いものではない。
もちろん、ツイッターなどを通じて作品がつまらなかったという人がそれを表明することは、仕方のないことだ。
どんな作品でも合う合わないはある。
どういう受け止め方や感想をする人がいるとしても基本的にはスルーしているのだが、感想を見た人が作品自体を誤解をすることは避けたい。
また、訂正すべき時に訂正しないことで誤解が広まることを避けたいという思いがありこの文を書いている。

https://togetter.com/li/1315551

あらためて書くが、単なるファンなので見聞きした情報は確実正確なものではない可能性がある。内部のゴタゴタも、あくまで流れを追っているいちファンの目線でしかない。

まず、「放課後のプレアデス」と当該の岸氏は無関係である。直接作品に関与しておらず、全12話のスタッフとして登場しない*1
では、どのような関係があるのか整理する。

参考にしたのは以下。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
https://news.nicovideo.jp/watch/nw3961006
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0418/ota_170418_5793368993.html
https://note.mu/r45shachou/n/nd4964fd5257e

2015年5月、株式会社神戸アニメストリートの社長である岸氏が、イベント参加会社に対して暴言・恫喝を行い、その後2015年の間に売り上げの踏み倒しが起きたという。
この記事では神戸アニメストリートでの問題行動およびその訴訟は本筋ではないので詳細はリンク等を読んでもらいたい。

一方、ガイナックスは、2015年4-6月放送の「放課後のプレアデス」を境に体制が変わっている。
放課後のプレアデス」が元請けとしては最後の作品で、それ以降は元請け作品はない。
2014年以降、京都市、神戸市、新潟市鳥取県米子市福島県三春町に支部を設立したというが、これらの会社に資本関係はないとされている。
2016年3月そのうちのひとつである神戸市の株式会社GAINAX WESTが設立した。取締役に岸氏が就任したという。記事中では時期不明である。

株式会社神戸アニメストリートの社長である岸氏が、売上金の踏み倒しをした後、株式会社GAINAX WESTにおいて取締役になったという。
資本関係のない企業で起きた問題にどこまで関わるべきかというのは一概に言えるものではないが、あまりできることは多くないだろう。
資本関係がなくとも名前を冠している以上道義的責任や監督責任があるべき、という指摘もあろう正直会社経営や法律に明るくないので、できることは少なさそうだ、という感想以上のものができない。
なんでそんな人物を取締役にしてしまったのか、脇が甘かったのではないかという批判はあると思う。
また、「資本関係がない」を信用してよいか、という話もあろうが、そこまでは私では判断が付かない。
おおむね関係がないことを分かってもらえればそれでよい。これでもいくらでもやりようがあったなら、その手段を今後のために教えてもらいたい。

こうして反論を試みること自体にリスクはあり、必死感がある厄介なファンがいると思われることが作品への評価にも繋がりかねない。それでも、好きで素敵な作品が誤解されるより一人でも同じ作品に触れて面白いと思ってくれる人が増える方に賭けたい。
反論のリスクとしては他にもHagex氏のように恨みをかう*2可能性もある。
攻撃的な批判者に正面から反論することは危険なのかもしれない。

煽りに反応すること自体が煽った者を増長させるところもあるが、「荒らしはスルー」という2ch時代とは違い、Twitterを含めたSNSではスルーしてよいときとそうでないときがある。
誤解が誤解を呼び、好きなコンテンツが誤解されたままになることはいろいろな意味で本意ではないのだ。
今回の発言は誹謗中傷の度合いが一定程度を越えたと判断した。

インターネットでは「刺激的な言葉を使うほど、読むに値しない」という判断基準を置いたほうがよいかもしれない。
人間の情動に訴えかける仕組みがあまりに強く、理性によって精査する前に行動に移ってしまうのは問題だ。
ファスト&スローで指摘されていたところである。

そもそも訂正記事や反論記事は、デマや刺激的な言葉・中傷に比べ拡散しにくい。
情報伝達の脆弱性と思う。デマはいいたい放題だが、それを訂正するコストはあまりに大きい。
今回「三流」といった分かりやすい中傷を伴っているから、外野の人にとってもどちらに理があるかも判断しやすい。
ただ、語句通りに「あの作品は三流だ」と思い込んでしまう人間は一定数いるはずで、それが広まってしまう可能性があるため大きくなる前にひと言言及しておきたかった。

20190205 まとめからは、流れと関係のない唐突なdisをしていたpostは削除されたようだ。 ひとまずはよかったのだろう。

*1:テレビ放送版のOPEDを再度確認した

*2:恨みをかう、は正確ではないのだが。あれはたまたま範囲に入ってしまったことが原因とは思う