話数単位で選ぶ、2017年アニメ10選
- 2017年1月1日から12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から10選定。 (投稿日が12/28なので実質そこまで)
- 1作品あたり1話
- 順位はなし(タイトルあいうえお順)
01.賭ケグルイ 12話「賭ケグルイの女」
たぶんあまり選ぶ人がいない。顔芸ばかりクローズアップされるが、様々なタイプのギャンブル狂の思考に触れることができて面白いものだった。立場のために賭けをする者、金のために賭けをする者、自尊心、嗜虐心、好奇心、命のやりとり、賭け事の興奮を求める、とまあ、本当にバリエーションがあった。 賭け事も本当に昔から行われているもので、ある意味人間の業に近づける議題なのだろうと思う。 最終話の「自分が負うべきリスクは自分で決める」という決断が、結局は人生の真理のひとつなのかもしれない。
エンディングが胸元がはだけたりするような扇情的な絵のはずが、妙な迫力があって単純なエロスという感じでもない。80デニールくらいの黒タイツの描き方が、「冴えない彼女の育て方」のようなすごみがある。
賭ケグルイに対して考えを深めるに、顔芸などとある種揶揄される表情はグルメ漫画における表情の使い方と同じようなものであり、これもある種のエロスとカテゴライズするのが適当であろう。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年7月30日
02.けものフレンズ 1話「さばんなちほー」
今年は本作について言うまでもないが、1話が全12話構成の、本当にきれいな繰り返しだった。 1話時点で興味深い旨ツイートしていたが、まさかここまでの流れ(そしてあの事件)になるなんて思ってもいなかった。 二期がなくなった件については、やはりというか、むしろ二期が蛇足になってしまうのではという気もしていたので、これはこれで仕方ないのかもしれない。2017年を代表するアニメといって差し支えない。
けものフレンズ、いろんな意味で自分が好きそうな気配があるんですけど、ことごとくイベントが終わっているの(ゲームもそうだし)これどうしたらいいんですか。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年1月11日
03.Just Because! 7話「Snow Day」
じわじわと面白くなるタイプのアニメだった。キャラ作画の不安定さ(その分背景への力のいれ具合)、に加えて小宮愛が止まらない7話を置く。 背景の看板などの文字で状況を説明するの(か遊んでいるのか)も面白い。 アニメを毎週見ることの価値のひとつに、翌週への「引き」の強さを味わうところがあるが、この7話はまさにそれ。行きの電車のシークエンスも、引きも最高。
『Just Because!』を誰かに観てもらうためにブログを開設した。 - Small Scale & Build, Build, Build...!!!!正直、人物絵は不安定な個所も多いし、センター試験前の高3がこんな調子かよと思うけど、それを吹き飛ばす積み重ねた描写、人物の心の動き、テンポ、背景の良さが回を追うごとに沁みてくる。とりあえず7話まで見て
2017/12/14 15:27
04.少女終末旅行 8話
8話より9話がSF的とか衒学的とかで人気な気がするが、月光の下で踊る少女たちが尊くてこちらを選ぶ。 チトとユーリの関係が、「びう」の影響で可視化されたのがまた美しい。 3話のカナザワの石田彰さんもよかった。もの悲しい終末世界に見合った演技だった。 7話のイシイも三石琴乃さんが、大人の、抑揚の少ない演技がとてもハマっていてよかった。
少女終末旅行、月光の下で踊る少女圧倒的じゃないか
— micromillion (@MicrMilli) 2017年11月25日
05.徒然チルドレン 12話
菅原高野の二人がすごく好きで、高野の自信のなさが私の姿に重なるような、そんな気がした。 どの二人組も魅力的ではあるが、教室の外で菅原高野のやりとりを聞いていた吉永の存在が12話を大きく引き上げた。吉永の表情だけで言えば、11話と迷った。 そして最後の「夏が始まる」がツボで、放送は九月も下旬だというのに自分の気持ちが一気に夏に引き戻されたのが記憶に残った。
徒然、やはり菅原高野のために見続けていたつもりだったが、やはり最後の二組に残っているのがよく分かる、という強い思いに至っている。吉永もまたよい。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年9月20日
徒然さぁ、夏が始まるじゃないんだよ。もう終わってるんだよ。俺を夏に引き戻してどうするんだよ。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年9月20日
06.ネト充のススメ 10話「月夜の晩に」
ストーリー自体は特筆すべき所はないと思うが、最終話の構成は、古典が蓄積してきたものをぎっちぎちに詰め込んだものだった。すごいものを見たな、という印象を受けた。 下手をするとコテコテになってしまう流れに納得感が出るためには、それまでの積み重ねが大事なのだと思う。
ネト充のススメ、いつも「そうそうこういうのでいいんだよ」って言ってたけど、これが膨大な古典を踏まえているからだな。すれ違いの作り方、秘密の持ち方、キャラクターの対称性、過去の因縁、身近な人の配置の仕方、道具を使った気づき、なにより雨や月によって近づく二人。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年12月18日
ぱっと気がついたところで、お節介な友人、突然の雨、彼シャツ、両手カップ持ち萌え袖、一緒に料理、手が触れてドキッとする、告白の雰囲気に邪魔が二回、同じ月を見ている、一歩踏み出すシーンで締まらない、転びそうなのを支える流れで手をつなぐ。これはすごい
— micromillion (@MicrMilli) 2017年12月18日
07.プリンセス・プリンシパル 「case18 Rouge Morgue」
シナリオが非常によく練られたアニメだった。 ひとつひとつの疑問の提示の仕方や順番もよく、毎週ハラハラさせられたし、毎週ごとに前週の内容の何気ないやりとりに意味があったと発見できるその仕組みも精密というか緻密というか。 5話、6話、10話で悩んだが、ドロシーがあまりに不憫なので6話を挙げよう。 私が剣術を嗜むので5話に対する複雑な気持ちがあり、10話よりも放送後の余韻の多さが6話好みだったのもある。 毎回良質な短編映画を見るような、フォトジェニックな絵や、終わり方が綺麗なのもうまい構成だった。
プリプリ、主要キャラ全員酷い運命に翻弄されていますが、この物語に潜む嗜虐趣味が演出の美しさで綺麗さっぱり消えていて良いですね。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年8月28日
08.宝石の国 8話「アンタークチサイト」
正直に言えば、アンタークチサイトへのフォスフォフィライトの思いについて、そこまで思い詰める意思を、理解ができていないところがあるが(目の前で失うことの大きさ、で片付けてよいものなのか)、それでもあの8話の疾走シーンからの9話の変化がよかった。 3DCGアニメーションがいつの間にやら「普通」になってきたな、と思っていたが、その上でローテクでない、味わいでさえない、映像美のクオリティとして押してくるこの作品は本当にすごかった。 10話のダイヤモンドがひとりで逃げるシーンの長回しカットは本当に息をのむ。 全話必見だろう。
09.ボールルームへようこそ 19話「敵(ライバル)」
全編全速力で駆け抜けたアニメーションだった。どれも選びがたいところはあった。 前半の方が好みではあるが(どう考えても真子ちゃんが好みなだけだが)、強烈な「憧れ」を見せられて、引きずり込まれたのが19話。唐突と言えば唐突だったが。子供の頃の憧れが後々まで影響を与える物語が結構好きなのだと思う。 ダンスという題材がとても良かったのだと思う。
プリプリは30分が長いし、ボールルームへようこそは30分が短い
— micromillion (@MicrMilli) 2017年8月21日
ボールルームへようこそ、リードアンドフォローの対称性、信頼、手繋ぎと題材の掘り下げが強い。だんだんSMを見ているような、見ているこっちが恥ずかしくなるような、そんな気持ちになってきた。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年10月9日
ボールルームへようこそ、後半に入るところで唐突に女の女に対する強い情念をぶつけてきてやばいな……
— micromillion (@MicrMilli) 2017年11月14日
いやー、最後に「怒り」として処理したので笑いになってよかった。これ、この圧力で情念だけが詰め込まれたら呼吸困難になるところだった。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年11月14日
10.魔法陣グルグル 20話「第20章 抜け出せ!レフ島!」
前半の駆け足がもったいなかった。1年くらい掛けてやってくれれば、もっと最終話の「恋するハート」への思い入れが入ることになったと思うが、まあ、仕方あるまい。 とにかく全編ククリのかわいさがこの上ない。 エロマンガ先生で沙霧アニメーターが話題になったが、ちょくちょく描いている人の最高のククリではないかという可愛さを見せられる。 また、OP最高に格好いい。 挙げたのは20話。急に差し込まれるこういうネタに弱いという自分の特性がある。 あと、20話まで来てやっと自分が(なのかシリーズがなのか)テンポに慣れたというのがある。 演出の綺麗さ。図書館の光の加減も本当に綺麗。 最終話「恋するハート」の内側と外側の考え方も10選に採用すべきか否か悩んだ。
グルグル、ククリアニメーターでもいるのかってぐらい可愛いククリの絵が出てくる。
— micromillion (@MicrMilli) 2017年11月29日
一年前は中国アニメが台頭するのではないか、もっと見るべきではと言っていたが、あまり見ることができていない。 絵梦の「セントールの悩み」など、目を引くものはあったが、まだ自分の心に深く傷跡を残すものではなかった。単に自分の感性が古くなっているだけかもしれないが。 また、中国産のアニメの様子を見れば、決して日本市場での成功を狙っているわけでもないことが見て取れてきた。このまま中国は、中国の市場で成功を狙うのかもしれない。 まあ、そういうものなのだろう。