話数単位で選ぶ、2015年アニメ10選

2015年1月1日から12月29日までにTV放送されたアニメ(再放送を除く)から10選
1作品あたり1話
順位はなし(あいうえお順)

01.アイドルマスター シンデレラガールズ 第17話 「Where does this road lead to?」

単話としての完成度の高さ。
18話もキャラの関係性や距離感がじんわりと重ねられていたため候補に挙がったが、構成の巧みさを感じたので17話を推す。
主要な複数のキャラクターが持っている相似性をうまく消化(昇華?)しているのがたいへん良かった。
城ケ崎姉妹両方にスポットを当てつつ、赤城みりあにも姉としての自覚が生まれていてみんなが少しずつ成長している様が見えた。
莉嘉は杏ときらりの二人の言葉で、もやもやした感情が吹っ切れるし、
美嘉はみりあの前で同じ姉としての共通点もあって素直になれるようになったし、
みりあはみりあで、姉仲間ができたことで少し成長した。
綺麗な話であった。
一期を見ながら莉嘉派だと思っていたが、みりあに母性を感じる人々がいる感覚を理解できてしまった回。
全話通して見るならば21話もよい。一期からの未央の成長が思わず胸を打つ。

02.アクエリオンロゴス 第15話 「嗚呼!青春の日々」

ロゴスワールドと呼ばれる異世界からモジバケという化け物が文字が持つ概念をゆがめ、現実世界に影響を及ぼす。
死という概念が壊された15話では、何が起きたかといえば、死者、死語が現代によみがえるといったものであった。
シリーズ全体としては、言いたいことを言葉にして(文字に関するアニメだからそれはある意味自然か)ある種説教臭くしゃべらせてしまうので、わかりやすいものだった。
花嵐ちゃんがやたら可愛いので動いているのとしゃべっているのを見るだけでたぶん楽しめると思います(一部の人は)。
そんな調子だったので話としてピンときていなかったが、15話は特別によかった。
比較的近年のネタを用いたパロディだと透けて見えてしまう「こういうの面白いんだろう?」というものが、死語をテーマにしているパロディゆえに回避されたのだと思う。パロディ先が古すぎるとパロディというより引用に近づくのだろう。
ゴーストバスターズ(パロディ)のコーラスはほほえましく見ていられたが、綺声神の高い声でのコーラスで耐えられず笑ってしまった。
あと、15話は総司令桜子さんの制服姿にぐっときます。

03.血界戦線 第6話 「Don't forget to Don't forget me」

5話と迷った。5話は後半からエンディングへの入りがたいへん綺麗であるが、話としての完結度合いを見て6話。
人間と、異界人が混ざって生きるヘルサレムズ・ロットでは、当然いろんな各々が折り合いをつけて生活をしていると思われるが、やはりそこには違いがある以上差別も存在する。
5話までは比較的そういう場面は薄くみんな(時には法を破って)好き勝手に生きているように見えていたが、6話で登場したネジが、通りひとつを挟んでそこには壁が存在すると言ったことで社会構造がはっきり見えた回だった。
そういう中で層を越えた友情に尊さを感じた。
暴力シーンは不愉快というか不安になったし、勧善懲悪的な側面がないでもないしで微妙な場面もあるが、落ちもきっちりと定番を押さえて綺麗にまとまっていた。
とにかくエンディングのアニメーションが楽しげで何度も繰り返し見てしまう。

04.少年ハリウッド 20話「僕たちの延命」

出てくるキャラクターの中では舞山春が好きなので、彼の個別回である9話、18話もよいけれど、話としては20話が良かった。
少年ハリウッドは、基本的にアイドルというもののありかた、ファンとのありかたに全力で回答しているアニメなので全話通してみるべきアニメである。
正確に表現できているかわからないが、今の私は、アイドルとは、「必死に、全力で走る際に見える一瞬のきらめきを魅せる存在」であると認識している。

20話はマッキーの優しさが際立つ回であった。
元ヤンであるせいか、仏恥義理魂だなんて恥ずかしい口上をさせられるが、一番アイドルらしくなく、粗野な印象のあるマッキーが実はチームのメンバーをよく見ていて、チームのために一番であることは何かを(分からないなりに)よく考えていることが分かる回。
そのマッキーが見せる悔し涙が、自分にはガツンと響いてきた。
なお、直後にハッとして目線をそらすシュンの様子に彼の繊細さを感じるポイントである。

特殊演出というか、劇中劇でファン側に感情移入しながらみることができる5話、10話、19話もいいが単体で見ても意味が分からないだろう。
いずれ永遠 never ever は踊れるようになりたい。

05.SHOW BY ROCK!! track-06 「DOKIィッ!?水着だらけの海合宿♡ですぞ♪」

レトリー最高に可愛いとずっと思っていて、5話のシアンと二人きりの時点ですでにやられていたのが、6話ではひたすらにいい、いい、とだけつぶやいていたような気がする。
全体的に影の表現が美しかった。
風呂の色遣いが綺麗で、レトリーの髪がアップになっていて思わず一時停止、シンガンクリムゾンズのギャグに癒され、シアンの歌でたまにかすれる声に悶え、つられてモアが秘密を告白したことで、一気に仲間としての距離が縮まったことで話としてもきっちりまとまっている。
これ以上何を求めるというのだろうか(ウワサノペタルズ メインでの二期を求めています)。
弾けもしないギターを購入するに至った原因の一つは間違いなくエンディングテーマのHave a nice MUSIC!!にある。

06.SHIROBAKO 第19話「釣れますか?」

多くの人が23話を推すであろうSHIROBAKOで19話を推す。
アニメは全般に高校生くらいのキャラクターが主人公であることが多いのであるが、本作はもう少し上の世代からかなり上の世代までが主人公である。
SHIROBAKO全体での感想は多くの人が放送中から放送終了後までずっと出してきているので取り立ててここで書く必要もないだろう。
19話は前半の矢野さん無双もいいが、大倉さんの話がかなり好きだった。
比較的、歴史というか積み重ねを感じさせる話に弱く、大人が大人としての仕事をしているシーンに弱い(今年のアニメではないがアイドルマスター(無印)21話は本当に好き)。
アンデスチャッキーの吹雪のシーンにまつわる話、アリアの故郷の背景の話両方よかったが、その際のモノローグ「アニメの仕事が好きだから夢中になって目の前の仕事をしていただけ(大意)」こそがSHIROBAKOで描かれてきたものだと思う。

07.長門有希ちゃんの消失 第10話「サムデイインザレイン」

それまでただひたすらにラブコメが続いていて、演技も、映画で見た消失の長門に似せることもないというもので、正直微妙だなと思っていたところ、10話に来て話がぐらりと揺らいだ回だった。
サムデイインザレインというタイトルで、この長門が現れただけでもう大満足していたのであったが、最後の朝倉の問いかけを聞いて、テレビの前でうなってしまい、11話を待ち望んだ瞬間に自分の中でそれまでの評価がひっくり返ったのだった。
涼宮ハルヒシリーズはいろいろあった。たとえばエンドレスエイトは暴挙であったという判断が大方であるようだが、個人的には全然ありだった。
エンドレスエイトが8話かかったなら、長門有希ちゃんの消失は10話かかったと考えればそう問題もなかったのだった。

08.ハッカドール THE あにめ〜しょん 第6話 「思い出のナーニー」

視聴後に漂うさわやかさ。ダンスをするエンディングではなかった結果だろう。
ボーイ・ミーツ・ボーイが好きなので3号ちゃんが男の子のままでもよかった。
……ボーイ・ミーツ・ガールだけで言うなら、4話だってそのはずであったのにこの差は。

意図的な作画崩しもたくさんある本作であるが、アニメの面白さは作画にのみあるわけではないと改めて感じた。

09.響け!ユーフォニアム 最終話「さよならコンクール」

最終話。8話もたいへん美しかったが、自分自身学生時代にステージに立ったことがある身としてはやはり13話を推したい。
朝の電車に漂う当日のそわそわとした空気、スポットライトの温かさを思い出させるような色遣い、光の反射、ホコリの表現。
演奏が一瞬に感じてしまうステージの空気が描写され、そこに惜しげもなくつぎ込まれていた技術を考えると途方もないものを見たという感覚が残ったのだった。
私自身は百合に永続性を求めておらず、一瞬の交錯やすれ違い、そしてその先の関係性に百合を見出している部分があるので、たいへんよい百合を見た気持ちがある。
百合とは書いたが、部活モノとして、誰にも勧めることができるたいへん良い作品であった。

10.放課後のプレアデス 第4話「ソの夢」

もう書くべき言葉が見当たらないが、2015年最高に心に刺さった放課後のプレアデスから。
とにかく誠実なアニメだった。
SFでジュブナイルで、魔法遣いで、ガール・ミーツ・ボーイでという作品で、それぞれの設定、それぞれのキャラクターの心の動きに誠実だった。
安易なお約束に流れないゆえにシビアな結論であったが、それが作中の彼女たちの結論であるならば(つまりは製作者の結論であるならば)視聴者である私もそうした結論を支持したい、応援したいという気持ちになった。

全話推したいが、最終話(見ると涙と鼻水がひどいことになるので、あまり回数を見ることができていない)にするか8話にするかなどとかなり悩んだが、もっとも引き込まれた4話を推す。
ほかの話に比べて科学的考証よりもむしろ情緒性が前に出ている回。
小さいころの過ちは、小さいからこそ後々まで影響を与えてしまうことがあるが、それを解きほぐす優しい作者側のまなざしが、作中の父母のものと重なるような気がした。


比較的アニメを見ているほうだと思うが、それでも心に残るエピソードというのはそう多くない。
アニメを見ても心動かされることが少ないというのは、自分の視聴スタイルが確立しつつあるということだ。
いいことでも悪いことでもないけれど、なにを見ても自分に変化がないのなら、見る必要もないのではないかとしばしば考える。
それでも、確率は低くても一作品でも自分を本当に動かす作品があったなら、それは幸福なことであり、きっとそういうものがあるはずだと信じ、ただアニメを見続けているのである。